ご家族の皆さまへ


心境の整理と、今後の生活の心構え

前向きな姿勢が、よい結果を

SCD・MSAには、さまざまな治療法があります。たとえば、様々な障害に対して薬剤を服用する、リハビリテーションで運動機能を維持する、病状に合わせた治療などで合併症を防ぐなどのほか、患者さんが自身のために独自のリハビリ方法を考案することもあります。

これらの治療法は、病気を完全に治すものではありません。しかし、病気とともに自分らしく生きることを、実現することができます。

ですから、悲観的にならずに現実を受け入れ、前向きに治療に取り組んでください。前向きな姿勢は生活の質を改善するだけではなく、病気によい結果をもたらす可能性もあるのです。


日常の生活を保つために

日常生活では、いままでと変わらない態度でご本人と接してください。そして、病気が進行すると困難なことも増えるため、診断されたときの状態を十分に把握して、それまでの生活をできるだけ保つ努力が不可欠です。

たとえば、この病気で運動失調になっても筋力は低下していませんから、ゆっくり正確に行えば動作の維持が可能なこともあります。いっぽう、辛いからといって運動をしなくなると、筋力まで落ちてしまう結果となります。 
また、いま残された身体の状態を活かし、できそうなことには積極的に取り組むことも、身体機能の維持には大切なことです。


介護にむけて

SCD・MSAは、ご家庭での介護を要する可能性が非常に高い病気です。しかし、ご家族の方々だけの介護では負担が大きく対処も難しいため、さまざまな外部サービスを利用したほうがよいでしょう。それによって、患者さんも外部の人たちと接する機会や、ご家族の方々も交えての語らいの場をつくることができます。

<在宅医療>

病院や診療所、歯科医院、訪問看護ステーション、調剤薬局から医師、看護師、歯科医師、薬剤師が訪問します。もよりの在宅医療機関は、かかりつけ医や受診している病院の医療相談室、地域の訪問看護ステーション、医師会、歯科医師会、ケアマネージャーへお問い合わせください。

<在宅介護に関する相談>

保健センターから巡回する保健師が、訪問指導をしています。ぜひ、将来のためにも相談されることをおすすめします。

<介護サービス>

ホーム・ヘルパーによる家事サポート(掃除、炊事など)、おむつ交換や身体の清拭、入浴車による入浴などのサービスがあります。 詳しいことは、かかりつけ医や受診している病院の医療相談室、地域の訪問看護ステーションなどにお問い合わせください。

<その他>

監修:国立精神・神経医療研究センター 理事長・総長 水澤英洋先生